糖尿病で昏睡状態、高浸透圧高血糖症候群とは?

糖尿病性昏睡を引き起こす症状として、糖尿病性ケトアシドーシスについてお伝えしました。
糖尿病の患者さんで昏睡状態にまで陥る可能性がある症状が、もう一つあります。
それが高浸透圧高血糖症候群です。
「高浸透圧」
「高血糖」
何かが高いってことはわかりますよね。
今回は、この高浸透圧高血糖症候群についてです。
今回はこんな内容です!
1.高浸透圧高血糖症候群ってなに?
①高浸透圧ってなに?
まずは、高浸透圧という言葉から、
簡単に言うと、
おしっこの中にブドウ糖が多い!!
ということです。
おしっこに糖が多いとどうなるか。
腎臓は血液をろ過しておしっこの素(原尿)を作ります。
これが1日で150Lくらいできるのですが、こんなにもおしっこは出ないですよね(汗)!
おしっこになる過程で、タンパク質など重要な栄養素や水分がもう一度血液中に戻されます(再吸収)。
結果的に1日に1.5Lくらいのおしっこができます。
このとき、おしっこにブドウ糖が多いと、おしっこのブドウ糖濃度ってどうなりますか?
そうです、高くなりますよね。
中学校で習ったことですが、
浸透圧の関係で、濃度が低い方(水分子が多い方)から濃い方(水分子が少ない方)へ水分が移動します。
再吸収で、血液に水分を戻そうとしても、浸透圧の関係で戻せない!!
という状態が起こります。
そうすると、
血液量が減り、おしっこに量が増えます(浸透圧利尿)。
ざっくりまとめると、
おしっこに糖が多いと、血液量が減り、血糖値が相対的に高くなる!
高血糖になると、おしっこの量が増える!
ということです。
これが、高浸透圧(高血糖)です。
おしっこの量が増えると、脱水になりやすくなります!
②高浸透圧高血糖症候群の原因ってなに?
原因は様々ありますが、
・血糖コントロール不良
・水分不足
・感染症
・手術
・高カロリー輸液
・利尿剤の多用
など
糖尿病性ケトアシドーシスと同じように、
血糖コントロールができていない状態(高血糖)で脱水がトリガーとなって起こります。
③高浸透圧高血糖症候群の症状は?
高浸透圧高血糖症候群は、症候群という名前がついているとおり、様々な症状の総称になります。
糖尿病性ケトアシドーシスとは異なり、症状の進行はゆっくりとしていて、はっきりとした症状が出るまでに数ヶ月かかることもあるそうです。
2型糖尿病の高齢者に多いのも特徴としてあげられます。
主な症状は、糖尿病でみられる症状と同じになります。
・多飲、多尿、口渇
・倦怠感
・体重減少
など
ひどいときには、意識障害や昏睡状態に陥ることがあります。
④高浸透圧高血糖症候群の治療は?
高浸透圧高血糖症候群の治療は、糖尿病性ケトアシドーシスと同様に、輸液による脱水症状の改善と血糖コントロールになります。
高浸透圧高血糖症候群では、糖尿病性ケトアシドーシスに比べて脱水症状の改善に重きを置かれるようです。
⑤高浸透圧高血糖症候群の予防
高浸透圧高血糖症候群の予防は、まずは脱水を防ぐことです。
脱水症状は様々な要因によって引き起こされます。
・風邪、発熱、嘔吐、下痢などの病気
・スポーツなどでの発汗
などなど
水分補給はしっかり行うようにしてください!
高齢者の方は、何種類も薬を飲まれていることが多いです。
利尿剤などおしっこを増やす薬や、ステロイド剤など血糖コントロールに影響を与える薬を服用されている時は注意が必要です!!
さいごに
糖尿病性ケトアシドーシスも高浸透圧高血糖症候群も、命に関わる可能性がある症状です。
水分補給をしっかり行ったり、血糖コントロールを意識することで、予防することができます。
もし何か異常を感じた時は、早めの対応が何より大切です!
担当の先生に連絡をとれるような体制を作っておいてください。
糖尿病は、生活習慣の改善によって克服できる疾患です!
薬も、やめたり減らしたりすることができます!!
普段から生活習慣を見直していきましょう!!!