命にかかわる!糖尿病性ケトアシドーシスとは?

糖質制限ダイエット
興味をもたれているかたも多いのではないでしょうか?
糖質制限について調べていくと、
「ケトン体」
という言葉が出てきます。
「ケトン体ってよくわからん!」
という方、ざっくりと説明します。
ケトン体:
アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンの総称。脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物である。
「ウィキペディア」
これを読んでもよくわからないですよね。
調べると色々と書いてあるんですが、
結局何かというと、
ヒトのエネルギー源の一つ!
なんです。
「あれ、エネルギー源ってブドウ糖だけじゃないの?」
と思われた方も多いのではないでしょうか?
実は、ヒトがエネルギー源として利用できるのは、ブドウ糖以外にもこのケトン体というのがあります。
ケトン体の特徴や役割については、別の機会でお伝えしていきたいと思いますが、
ここでは、ケトン体が酸性に傾いているということを知っておいてください。
ケトン体がカラダの中に異常に増えてしまうと、カラダが酸性に傾きます。
これをケトン体による血液の酸性化(アシドーシス)で、ケトアシドーシスといいます。
それが糖尿病によって引き起こされると、糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれます。
前置きが長くなりましたが、今回は糖尿病性ケトアシドーシスについてです。
今回はこんな内容です!
1.糖尿病性ケトアシドーシスとは
先程の繰り返しになりますが、
糖尿病性ケトアシドーシスとは、
糖尿病によってケトン体が血液中に増え、カラダが酸性に傾く状態
をいいます。
①糖尿病性ケトアシドーシスの原因は?
それではなぜ、糖尿病性ケトアシドーシスが起こるのでしょうか?
検索すると、だいたい
「インスリンが不足し」
というところから始まります。
なぜインスリンが不足するのでしょうか?
これは、
もともとインスリンをつくれないから
です。
つまり、1型糖尿病の方で起こる状態です。
・1型糖尿病の方は、インスリンをつくれません。
・インスリンがないため、ブドウ糖を処理することができません。
・ブドウ糖がたくさんあるのに、飢餓と同じ状態になり、もう一つのエネルギー源であるケトン体が増えてきます。
このブドウ糖がたくさんある(血糖値が高い)状態というのがポイントで、
なぜかというと血糖値が高いとおしっこの量が増えるためです。
これによって、脱水状態に陥ります。
これは、糖尿病の症状のところでみました
それでは続きです!
・カラダの中では、高血糖、高ケトン体、低血液量という状態が起こります。
・血液量が下がるので、相対的に高血糖、高ケトン体が進みます。
・ケトン体が過剰になったカラダは、酸性に傾いてしまいます。
これが、糖尿病性ケトアシドーシスの原因です。
もっとざっくりと
A.インスリンがない! → ブドウ糖がエネルギーとして使えない
B.ケトン体をエネルギーとして使おう → ケトン体の上昇
C.カラダが酸性に傾く → 糖尿病性ケトアシドーシス
という感じです。
②糖尿病性ケトアシドーシスの症状は?
糖尿病性ケトアシドーシスでは高血糖状態に陥っているので、
口渇、多飲、多尿などの糖尿病に特有の症状が急激にでます。
その他にも、悪心や嘔吐、呼吸困難などがみられることもあります。
ひどい時は、
昏睡状態に陥り(糖尿病性昏睡)命に関わります!!
③糖尿病性ケトアシドーシスの治療は?
糖尿病性ケトアシドーシスが疑われた時は、すぐに担当の先生に連絡を取ってください。
早めの対応が自分の命を守る最善の策と成ります!
治療としては、
原因が高血糖と脱水なので、
インスリンの補充による血糖コントロールと補液による脱水の解消です。
(ケトン体の上昇は、ブドウ糖の処理がうまくいかなかったことによって起こります。インスリンを補充し、ブドウ糖が処理できるようになれば改善していきます。補液(点滴)は、血液量を増やすことで相対的にケトン体の濃度を減らすため、高ケトン体の改善に役立ちます。)
糖尿病性ケトアシドーシスを予防するために
糖尿病性ケトアシドーシスは、
①インスリンがないという環境下で、
②高血糖状態
③脱水症状
が加わることによって起こります。
ちなみに、
インスリンが分泌されている2型糖尿病の方や健常人は、
糖質制限を行ってケトン体が高値になってもケトアシドーシスになることは、まずありません!!
(ヒトには、様々なバランス調整機能があり、血液が多少酸性に傾いてもそれを調整する機能(酸塩基平衡)が備わっています!!)
①ベースのインスリンは欠かさない!
1型糖尿病の方は、外部からのインスリン補充が欠かせません。
一時の血糖低下のために、すべてのインスリン注射を中止するのではなく、ベースとなる基礎インスリンの補充は欠かさずに行うようにしてください。
また、食事ができなかったときの対応など、担当の先生とあらかじめ話し合っておくようにすると不安が解消されると思います。
・1型糖尿病の方も糖質制限できる!
ここで少しブレイク!
糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンがないという環境下で起こります。
1型糖尿病の方も、基礎インスリンの補充を行っていれば、健常人と同じように糖質制限ができるということです!
糖質制限は、
インスリンの減量、肥満予防、血圧低下などなど、
様々なメリットがあります!!
②脱水につながるようなことはさける
糖尿病性ケトアシドーシスは脱水が重要なトリガーとなります。
風邪を引いたときなどは、脱水になりやすいので注意が必要です。
外傷などの強いストレスが加わったときも脱水と同じような状況に陥ることがあるので、注意が必要です。
さいごに
糖尿病性ケトアシドーシスは、時に命にかかわる症状です。
早めの対応が重要になってきます。
担当の先生とよく話し合って、もしもの時の万全の備えをしてください。