LPLがない!家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症とは?

 

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はじめまして、薬剤師の浅井です。
人生を幸せにおくるためには、健康とお金が大切!
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浅井秀星

 

リポ蛋白リパーゼ(LPL)は、中性脂肪を分解する酵素で、

中性脂肪が予備タンクとしての役割を果たすために欠かせません!

脂質異常症を理解する!中性脂肪の基礎

 

LDLHDL

という言葉は聞いたことがあると思います。

 

ですが、LPLって言われて、

あ~、あれね!

となる方は、ほとんどみえないのではないでしょうか?

 

あまり知られていないんですが、

LPLは脂質異常症を理解するために重要です!

脂質異常症のキーポイント、LPLとは?

 

脂質異常症の方の中に、時として

中性脂肪が異常に高い方がみえます。

 

このような方は、

LPLの働きが弱くなっていることが考えられます。

 

この原因の一つに、

家族性LPL欠損症

と呼ばれるものがあります。

 

今回は、家族性LPL欠損症についてお伝えします。

 

 

1.高トリグリセリド血症の原因

 

中性脂肪は、トリグリセリド(TG)と呼ばれたりします。

 

血液中の中性脂肪が高い状態を高トリグリセリド血症と言うんですが、

高トリグリセリド血症は、大きく2つの種類にわけられます!

 

まずは、この種類についてみていきましょう。

 

(1)原発性高トリグリセリド血症

 

先天的、つまり、

遺伝的なものであったり、

何らかの原因によって生まれつき、

中性脂肪(トリグリセリド)が高い状態があります。

 

これを原発性高トリグリセリド血症といいます。

 

原発性高トリグリセリド血症は、

中性脂肪の分解に必要なLPLがなかったり、

LPLの働きに関わるタンパクがなかったりします。

 

いずれの場合も、

LPLがしっかりと働けない!

という状態ですね。

 

この中で、

遺伝によってLPLがない状態

家族性LPL欠損症です。

 

 

ちなみに、

LPLの働きに関わるタンパクがない疾患としては、

・家族性APOC2欠損症

・APOA5欠損症

など、があります。

 

 

その他にも、

中性脂肪の代謝に必要なタンパクを敵(異物)とみなして攻撃してしまう、

自己免疫疾患によって高トリグリセリド血症が発症する場合もあります。

 

 

繰り返しになっちゃいますが、確認です!

 

LPLは、中性脂肪を分解して

血液中から細胞におくるための酵素でしたよね。

 

だから、

LPLがなかったり、

働きが悪かったりすると、

血液中の中性脂肪を細胞におくることができません!

 

そのため、

血液中の中性脂肪が高くなってしまうんですね!

 

 

原発性高トリグリセリド血症の発症頻度は、

50万人~100万人に1人程度といわれていて、

国から難病指定がされています。

 

 

(2)続発性高トリグリセリド血症

 

続発性とは、後天的な原因

たとえば、

・糖尿病などの疾患

・薬の服用

・お酒の飲み過ぎ

・妊娠

・肥満

など

 

他の病気や薬の服用、生活習慣などが原因となって、

高トリグリセリド血症が発症することをいいます。

 

発症頻度は、原発性よりは多いものの

ハッキリとは分かっていないのが現状です。

 

 

2.家族性LPL欠損症の病態

 

 

LPLがないと中性脂肪が増えてしまうことは、

お分かりいただけたと思います!

 

 

脂質異常症は、

表現型の違いによって分類されるのですが、

家族性LPL欠損症では通常、Ⅰ型の表現型をとります。

 

脂質異常症の分類については、こちらを参考にしてみてください。

脂質異常症のタイプを知って、隠れた疾患に注意する!

 

 

Ⅰ型の表現型は、

カイロミクロンが顕著に増加している状態です。

 

カイロミクロンは、

主に中性脂肪を輸送するリポタンパク質です。

 

 

カイロミクロン?

リポタンパク質??

という方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。

リポタンパク質を知ればわかる、コレステロールの善悪!

 

 

家族性LPL欠損症では、

1型表現型でカイロミクロンが異常に高くなっています!

だから、高カイロミクロン血症という言葉が使われます。

 

ですが、

高カイロミクロン血症であっても、

高トリグリセリド血症であっても、

病態としては血液中に中性脂肪が多い状態のことなので、

どちらも同じことをいっているんだな~

と考えてもらえばいいと思います!

(ネットや本では、高カイロミクロン血症という表現が用いられているので、これ以下では高カイロミクロン血症という表現を用いさせてもらいます。)

 

 

血液中の中性脂肪は、

1,000mg/dL以上になります。

中には、

10,000mg/dL以上となることもあります。

 

中性脂肪の基準値

高トリグリセリド血症:150mg/dL以上

 

というのを考えると、

実に10~100倍!!

ものすごく中性脂肪が多くなっている

ことがわかりますよね!

 

 

中性脂肪とコレステロールの関係について、

中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減り、

中性脂肪が減るとHDLコレステロールが増える!

いわゆる逆相関の関係となることが分かっています。

 

そのため、高カイロミクロン血症では、

一般的にHDLコレステロールが低下します!

 

 

HDLコレステロールは、動脈硬化と深い関係があるといわれています!

HDLコレステロールについては、こちらも参考にしてみてください。

コレステロールを理解する!HDLコレステロールとは?

 

 

血中カイロミクロンの増加は、

食事中に含まれる脂肪量に大きく影響されると考えられていて、

ミルクを主食とする乳児期など早期に発症することが多いといわれています。

 

成人では、

急性膵炎の発症によって発見されることがあります。

 

 

3.カイロミクロンが多い状態が続くとどうなるのか?

 

著しい高カイロミクロン血症では、

血液が白く、クリームみたいになったりします。

 

また、皮膚症状、眼科症状、内蔵症状が見られることがあります。

 

 

(1)皮膚症状

 

皮膚に出る症状としては、

手足やお尻などに黄色い発疹(皮膚性発疹性黄色腫)ができることがあります。

 

(2)眼科症状

 

眼科症状としては、

眼底検査をしたときに網膜脂血症が認められることがあります。

 

網膜脂血症は、特に症状はでないそうですが、

眼底検査をしたときに、網膜の血管が乳糜色(乳白色)に見えるそうです。

 

網膜脂血症は、

血中の中性脂肪値が4,000mg/dLを超えてくるとみられる

といわれています。

 

 

(3)内蔵症状

 

内蔵症状としては、

肝臓や脾臓が肥大することが認められることがあります。

 

肝臓や脾臓にあるカイロミクロンを溜め込む細胞に

カイロミクロンがパンパンに溜められることが原因だと考えられています。

 

その他にも、

高カイロミクロン血症が続くことによって、

失神発作狭心痛などが現れることがあります。

動脈硬化との関係も報告されているので、

心筋梗塞などの血管系の疾患にも注意が必要です!

 

 

高カイロミクロン血症で最も注意しなければいけない症状が、

急性膵炎です!

 

急性膵炎は、

お腹や背中の痛み、悪心・嘔吐などの消化器症状を主な症状としていますが、

劇症化すると死に至る可能性のある疾患なので、注意が必要です!!

 

急性膵炎は、

中性脂肪値が1,000mg/dLを超えると発症リスクが高まるといわれています。

現在の発症例では、

2,000mg/dLを超えている場合がほとんどだそうです。

 

 

急性膵炎の発症を予防するためにも、

中性脂肪の厳格なコントロールが必要とされます!!

 

 

4.家族性LPL欠損症の治療

 

(1)最も重要な治療法は食事!

 

家族性LPL欠損症の治療は、

食事療法が中心となります!

 

 

食事療法では、

厳重な脂肪制限(20g/日以下、または、総カロリーの15%以下)が行われ、

中性脂肪が上昇することを抑えることが目的とされます。

 

また、

糖質(特に、砂糖や果物に含まれる果糖)も中性脂肪を上昇させる原因となるので、

過剰摂取には注意が必要です!

 

その他、

糖尿病アルコールも中性脂肪を上昇させる原因となることが知られているため、

糖尿病の合併を防ぐような生活習慣、アルコールの制限なども必要になってきます!

 

 

(2)薬物療法の効果は限定的!

 

生活習慣病の治療は、

食事などの生活習慣の見直しが基本です!

 

薬物療法は、起こっている状態を抑えるために用いられます。

 

たとえば、

高血圧の薬は、血圧を下げますし、

コレステロールを下げる薬は、コレステロールを下げます。

 

ですが、

遺伝に関わる疾患に対しては、

薬の効果が限定的になってしまうことが多くあります!

 

家族性LPL欠損症も、

薬の効果は限定的となります。

 

 

中性脂肪を下げる薬として最もよく用いられている薬に

フィブラート系薬剤があります。

 

このフィブラート系薬剤は、

LPLの働きを高めることによって効果を発現します。

 

LPL欠損症は、

その名の通りLPL自体がありません!

すると、LPLに働く薬の効果って・・・

 

お察しの通り、

LPL欠損症に対しては、

フィブラート系薬剤の効果が期待できません!

(若干の効果を示す場合もありますが、その効果は限定的です。)

 

 

遺伝に関する疾患に対する薬は、

・効果が限定的!

・効果がほとんどない!

といわれてもうなずけますよね。

 

 

遺伝に関する疾患の治療として、もしご興味があれば、

家族性高コレステロール血症についても参考にしてみてください。

家族性高コレステロール血症の治療

 

海外では最近、

家族性LPL欠損症に対する遺伝子治療が認可され、

効果が期待されています!

 

 

(3)ココナッツオイルが強い味方に!?

 

ココナッツオイル

ダイエットの強い味方ということで話題になってますよね!

 

これは、

ココナッツオイルが中鎖脂肪酸を多く含んでいる

ことに起因します。

 

中鎖脂肪酸は、

カイロミクロンを介さずに肝臓に運ばれて、

カラダのエネルギー源となります!

 

 

カラダのエネルギー源となるために、

LPLが必要ない!

ってことですね。

 

 

オリーブオイルや菜種油もカラダに良いといわれていますよね。

ですが、

これらの油に含まれているのは、長鎖脂肪酸と呼ばれます。

 

 

長鎖脂肪酸をエネルギーとして利用するためには、

いったん分解され、

吸収され、

・・・

というように、様々な工程をとります。

 

 

この工程の中で、LPLが必要となってくるので、

LPL欠損症では、工程が途中で止まってしまいます!

 

 

詳しくは別の機会にしたいと思いますが、

菜種油や亜麻仁油に多く含まれているω3系脂肪酸は、

中性脂肪を下げる効果があるEPADHAになるので、

ω6系脂肪酸を摂取するよりは良いと思います。

 

 

同じように、

EPAやDHAが多く含まれている魚もお肉よりは良いと思います。

 

ただし、

薬であるEPA製剤の効果もあまり期待できないとされているため、

薬以上の効果を期待することはできないと考えられます。

 

 

また、

摂りすぎは中性脂肪を高めてしまうので、注意が必要です!

 

あくまで、

現在過剰摂取が問題となっている

ω6系脂肪酸との置き換えと考えたほうが良いと思います。

 

 

少し脱線しましたが、

ココナッツオイルはLPL欠損症の食事療法において

つよーい味方になりそうですね!

 

 

ちなみに、

これも別の機会でお伝えしたいと思いますが、

ココナッツオイル(中鎖脂肪酸)が脂肪を減らすわけではないので、注意です。

 

どういうことかというと、

単純にココナッツオイルをとるだけではダイエットは成功しない!

ということです。

 

・便秘が改善されて、体重が減った!

・食欲が抑えられて、体重が減った!

など、

多少は効果があるのかもしれませんが、

あくまでココナッツオイル(中鎖脂肪酸)は、

エネルギーとして使われやすいということで、

脂質をエネルギー源として利用しやすくなる

ということです。

 

 

ざっくりいえば、

糖質で補給していたエネルギーを脂質に置き換える!

というイメージです。

 

だから、

糖質制限を同時に行わなければ、

その効果がしっかり発揮されません!

 

 

ココナッツオイルダイエットで成功していない方

糖質の摂取が変わっていなかったり、

ココナッツオイルをとれば大丈夫といった感じで、

糖質摂取を逆に増やしていませんか?

 

一度、見直してみてください!

 

 

まとめ

 

家族性LPL欠損症は、中性脂肪の分解に必要なLPLがない疾患です。

血中の中性脂肪が顕著に増加することによって皮膚、目、内蔵などに症状が出ます。

中性脂肪値が1,000mg/dLを超えると急性膵炎になる可能性が高くなるので注意が必要です。

治療は、薬物療法の効果があまり期待できず、食事療法が中心となります。

ココナッツオイルなどに含まれる中鎖脂肪酸は、LPL欠損症の強い味方になりそうです。

 

 

 

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