高尿酸血症の治療!尿酸値を下げる薬を知ろう!!

健康診断などで、
尿酸値が高いと「高尿酸血症」と診断されます。
高尿酸血症の基準値は、7.0mg/dL以下とされています。
高尿酸血症は、
痛風発作と深い関係があることが知られているため、
痛風発作を防ぐためにも、
尿酸値を基準値よりも低くしておくことが望ましいとされています!
高尿酸血症の治療は、
運動や食事などの生活習慣の改善が基本となるのですが、
改善がみられない場合など、必要に応じて薬が出されることもあります。
そこで今回は、高尿酸血症といわれた時に使われる薬についてお伝えしたいと思います!
今回はこんな内容です!
1.高尿酸血症治療のフローチャート
高尿酸血症と診断された場合、
基本的には、次のフローチャートに従うことになります。
フローチャートに従うと薬物療法の対象となるのは、
- 痛風発作がある
- 尿酸値が8.0mg/dLかつ合併症*がある
- 尿酸値が9.0mg/dL以上
ということになります。
(*合併症:腎機能障害、尿酸結石、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)
フローチャートから、
生活習慣の改善が治療の基本であることがわかりますね!
フローチャートに従えば、
尿酸値がある程度高くても、
痛風発作などがない場合は、
薬物療法の対象とならないこともわかります!
2.尿酸値を下げる薬の種類
血液中の尿酸値が高くなるのは、
- 尿酸がたくさんつくられている(尿酸産生過剰型)
- 尿酸が上手に排せつされていない(尿酸排泄過剰型)
が原因でした!
尿酸値を下げる薬は、
これらの原因に従って、
大きく2つに分けることができます。
注意!!
尿酸を下げる薬は、
痛風発作の予防、高尿酸状態の継続による腎臓負担の解消などを目的として使用されます。
痛み止めとは違うので、
痛風発作の痛みを改善することはできません!
また、場合によっては、
痛風発作を悪化させる可能性があります。
薬の服用で症状を悪化させてしまったら、
元も子もありません(泣)
薬の服用に関しては、
薬の専門家である薬剤師にご相談ください!
(1)尿酸の排せつを助ける薬(尿酸排泄促進薬)
尿酸はおしっこと一緒に排泄されるのですが、
おしっこがつくられる過程で、
尿酸の多くはカラダの中に再び戻ってきます(再吸収)!
尿酸排泄促進薬は、
尿酸の再吸収を抑えることによって、
カラダの中に再度取り込まれる尿酸を減らします。
再吸収が抑えられるということは、
おしっこに出ていく尿酸が増えるということになります。
つまり、、、
尿酸排泄促進薬は、
おしっこに出ていく尿酸を増やすことによって尿酸値を下げる薬です!
尿酸排泄促進薬には、以下の3種類があります。
- プロベネシド(ベネシッド®)
- ブコローム(パラミヂン®)
- ベンズブロマロン(ユリノーム®)
プロベネシドは、
古くから痛風治療として用いられていますが、
一緒に服用することに注意が必要な薬が多いので、
何種類も薬を飲んでいる人にとっては、注意が必要な薬となります!
ブコロームやベンズブロマロンは、
薬を分解するのに必要な酵素の一部に影響を与えるため、
併用に注意が必要な薬があります!
「一緒に服用がよくない薬がたくさん!?」
「併用に注意!?」
よくわからない表現ですよね(汗)
ざっくり言えば、
尿酸排泄促進薬は、
「気を遣う必要がある薬」
ということです!
先ほどもお伝えしましたが、
尿酸排泄促進薬は、
おしっこ中の尿酸の量を増やすので、
尿路結石が起こりやすくなる可能性があるといわれています!
尿路結石を防ぐために、
尿をアルカリ性にする薬(ウラリット®など)を併用することが望ましいとされています。
その他にも、
尿酸排泄促進薬の服用によって、
おしっこの量が増えることがあるので注意が必要です。
尿酸排泄促進薬、
気を遣いますよね・・・(汗)
(2)尿酸の産生を抑える薬(尿酸産生抑制薬)
高尿酸血症の治療薬として、
一般的に用いられているのが尿酸産生抑制薬です。
尿酸産生抑制薬は、その名の通り、
尿酸の産生を抑えることによって尿酸値を下げる薬です!
尿酸産生抑制薬には、
以下の3つの薬があります。
- アロプリノール(ザイロリック®)
- フェブキソスタット(フェブリク®)
- トピロキソスタット(ウリアデック®)
高尿酸血症の治療薬としては、
アロプリノールが主に使われていましたが、
副作用が懸念されていました。
2011年、フィブキソスタットの登場により、
現在は、フェブキソスタットの使用が増えてきています。
トピロキソスタットは、
最も新しい尿酸産生抑制薬で、
1日1回のフェブキソスタットとは違い、
1日2回飲むことが必要な薬になります。
1日2回の薬は、
飲み忘れる可能性があるというデメリットはありますが、
1日1回の薬に比べて急激な尿酸値の低下を防ぐことにより、
尿酸値の変動による痛風発作を抑制するというメリットがあります。
薬の服用によって痛風発作が起こる原因を知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。
その他、トピロキソスタットは、
抗酸化作用を有している可能性があるため、
個人的には、動脈硬化抑制作用など尿酸低下作用以外の効果に着目しています!
以下に、高尿酸血症治療薬の特徴を簡単にまとめたので、参考にしてみてください。
3.尿酸を下げる薬の選択
尿酸が高くなる原因は、
- 尿酸がたくさんつくられている(尿酸産生過剰型)
- 尿酸が上手に排せつされていない(尿酸排泄低下型)
ということをお伝えしました。
こちら記事でも書かせていただきましたが、
2つの原因のうち、
尿酸排泄低下型がその大半を占めています!
理論的に考えて、
「尿酸産生過剰型」には「尿酸産生抑制薬」を、
「尿酸排泄低下型」には「尿酸排泄促進薬」を、
ということになります。
これはガイドラインにおいても、
基本原則とされているのですが、
実際は、尿酸産生抑制薬が多く使われています!
個人的には、
尿酸排泄低下型が多くを占める高尿酸血症に対して、
尿酸産生抑制薬を使用するという矛盾に疑問を抱かざるを得ません・・・(汗)
これに対しては、
尿酸排泄促進薬は気を遣わなければならない(使い難い)ことが、
一つの理由として考えられます。
また、
尿酸産生抑制薬で、高尿酸血症の治療や痛風発作の抑制に十分な効果が得られている!?
ことも、尿酸産生抑制薬が主として使われている理由かもしれません。
まとめ
高尿酸血症の治療は、生活習慣の改善を基本としていますが、
必要に応じて薬物療法が行われます。
高尿酸血症の治療に使用される薬は、
「尿酸産生抑制薬」と「尿酸排泄促進薬」の2つに大きく分けられます。
薬の効果や使いやすさなどが考慮され、
現在、尿酸産生抑制薬が主に用いられています。
高尿酸血症の根本的な治療は、
高血圧や糖尿病などと同じように
生活習慣の改善です。
薬はあくまで対症療法でしかありません。
生活習慣を見直すことによって、
薬の減量、断薬も可能です!!
ただし、生活習慣の改善は、
すぐに効果が出るものではありません(汗)
ですが、
継続することで必ず効果が出ます!
「健康は失ってから気づくもの」
ということがよく言われます(汗)
生活習慣が気になっている方、
ぜひ見直してみてください!