病気を知ろう【高血圧編;生活習慣を見直そう!】

高血圧は生活習慣病の一つです。
だから、その治療で生活習慣ってすごく大切なんですよね!
「そんなこといっても、何に気をつければいいのかわからない。」
今回は、高血圧治療の根幹となる生活習慣について、
気をつけるポイントをお伝えしてきます。
この生活習慣については、このブログのメインテーマの一つでもあるので、
インターネットなどでいろいろと言われていることも含めて、
よく吟味してから、お伝えしていきたいと考えています。
ただ、ここではまず、土台として高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)を基に、お伝えしていきたいと思います。
いい生活習慣は、高血圧の方だけでなく、高血圧を予防する意味でも血圧が正常な人に対しても適切に身につけることが必要になってきます。
今回はこんな内容です!
1.生活習慣を見直そう!
まずは次の表を見てください、これはJSH2014にある生活習慣の修正項目です。
「JSH2014を参考に作成」
それでは、1つずつみていきましょう。
①食塩制限
食塩制限については、賛否両論、様々な意見があるので、
いずれそのことについてもお伝えしていきたいと思います。
また、基準や目安については、こちらの記事も参考にしてみてください。病気を知ろう【高血圧編;高血圧っていけないの?】
減塩によって血圧を下げるためには、少なくとも6.5g/日まで摂取量を抑えなければならない
降圧薬中止後の正常血圧維持に有効である減塩は5.6g/日以下であった「JSH2014」
とあります。
食塩摂取量を5~6g/日にするって、1日2日は可能かもしれませんが、
毎日継続することはほとんど不可能に近いと思います。
どのくらいって思われた方は、こちらを参考にしてください
食塩の過剰摂取は、心血管病(不整脈など心臓や血管に関わる病気)リスクが増加することが報告されています。
そして、減塩によって脳卒中(脳の血管が詰まったり、破れたりする病気)リスクを抑える傾向がある、と言われています。
1日1gの減塩に成功することができれば、収縮期血圧を約1mmHg減少させるという解析結果も出ているそうです。
この報告からすると、食塩と血圧には関係があると考えるのが自然です。
だから、
食塩の摂取が多いなと思われている方は、
食塩の摂取量を減らすことで、血圧を下げることができます。
現在、1日平均して10g程度食塩を摂取しているので、目標である6g/日までにしたら、単純に収縮期血圧を4mmHg下げることができる計算になります。
最近では、食品の栄養成分表示に食塩摂取量やナトリウム量が記載されていますので、
次の換算式も参考にして食塩摂取量を意識してみるのもいいと思います。
食塩摂取量(1g)=ナトリウム量(約400mg)
ただし、減塩が厳しすぎると脱水症状につながります。
高齢者や腎臓に疾患を抱えている方などナトリウムをカラダに保持する能力が低下している場合、夏など暑い時期やスポーツ時など水分が失われやすい場合は、注意をする必要があります。
②高血圧の人向けの食事だってある!
アメリカで高血圧に効果的であることが認められた食事法があります。
それはDASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食と呼ばれるものです。
直訳すれば、「高血圧にストップをかける食事法」です。
DASH食は、野菜や果物、低脂肪の乳製品を増やし、肉や脂肪分が高いものを減らす食事法です。
栄養素でいうと、カリウム、カルシウム、タンパク質などを増やし、飽和脂肪酸(動物性の脂に多く含まれている)とコレステロールを下げる食事法です。
DASH食については、こちらのサイトを参考にしてみてください。
http://www.kouketsuatsu-w.com/dash.html
血圧は、ナトリウムとカリウムのバランスによって保たれています。
このバランスが崩れることが高血圧の原因となったりします。
食塩(ナトリウム)の過剰摂取は、このバランスを崩してしまうから、減塩しましょうとなります。
DASH食は、ナトリウム過多となっている状態に、カリウムの摂取量を増やすことによって、バランスを調整するため、特に食塩過剰摂取による血圧上昇に対して効果が高いとされています。
カルシウムやマグネシウムも、血圧に影響を与える可能性があると言われていて、これもDASH食が血圧に対して好影響を与える理由の一つであると考えられています。
「DASH食、いいね~!」
と、思われたのではないでしょうか?
ただ、これはあくまで高血圧に対する食事法です。
果物などを増やしていくと必然的に糖分が増えます。糖尿病の方には、注意が必要です。
また、カリウムの過剰摂取は高カリウム血症につながります。腎臓の病気などを抱えている方にも注意が必要になってきます。
その他にも、魚の油などに多く含まれるEPAと呼ばれる脂肪酸、食物繊維にも降圧効果が認められています。
栄養素については、今後、紹介していきたいと思っています。
乞うご期待です(笑)
③適正体重の維持を心がけよう!
高血圧と肥満には重要な関係があることが分かっています。
BMIが25kg/m2以上の方は、25kg/m2未満を目指して、
この水準を維持できている方は継続できるように気をつけることが必要です。
BMI(Body Math Index)とは、ヒトの肥満度を表す体格指数のことで、
体重(kg)÷身長(m)の2乗で表されます。「ウィキペディア」
体重を約4kg減量することができたら、4.5/3.2mmHgも降圧効果が得られたことが報告されています。
これってすごくないですか!
だから、高血圧の方で、加えて肥満が気になっている方は、まずは体重を落とすことが先決です。
肥満は、糖質代謝異常や脂質代謝異常などの様々な病気にも関わってきますので、一石二長以上のメリットを得ることができます。
④運動をする習慣を身につけよう!
定期的に運動する習慣ってありますか?
健康の維持には大切だ、って思っていても、なかなかできないですし、社会人になると特に運動する機会って減ってしまいますよね。
そして、いったん運動から離れてしまうと、また始めようっていうのが億劫になります。
運動を継続的に行うって難しいんです。でもやっぱり健康にはいい影響を与えるんです!
有酸素運動が血圧を下げる効果があることが確立されています。
それだけではなく、生活習慣病と呼ばれる病気の全般に効果があります。
目標として1日30分を毎日行うこととされています。これはかなりハードルが高いです。この30分は、10分を3回でもいいそうです。これもなかなかできないのではないでしょうか。
だからまずは、エスカレーターではなく階段を使うとか、
近くのコンビニまでは歩いて行く、というところから始めるのがいいと思います。
大切なことは、意識することです。
そして、無理をせずにできることから少しずつ始めていきましょう!
ちなみに、30~60分の運動を継続することによって、4/2mmHg程度、血圧を下げることが報告されています。
⑤過度なお酒は控えましょう!
お酒を大量に飲むと高血圧に加えて脳卒中などの病気のリスクを高めることが分かっています。
でも逆に、少量だと心血管病のリスクを改善する可能性があることが報告されています。
だから、
お酒はほどほどに!
という結論です。
節酒によって、3.5/2mmHg程度の降圧効果が認められています。
JSH2014にある目安として、
エタノール摂取量として
男性:20~30mL(日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイン2杯弱程度)
女性:10~20mL(男性の半分程度)
とされています。
⑥タバコはダメ!
これはもう個人的な意見ですが、ダメ絶対です!
ただ、JSH2014には、
血圧とタバコとの関係は、一時的には血圧を高くすることが指摘されているものの、長期的な影響は確立されていないそうです。
これは意外でした!
でもね、血圧への影響が明らかでなくても脳卒中などの他の病気との関連性は明かにされています。そしてこの影響は喫煙者本人だけでなく、周りでタバコの煙を吸っている人(いわゆる受動喫煙者)にまで及ぶことが確認されています。
だから、ダメ絶対!!です。
⑦他には何が影響するの?
・気温
一般的に、夏は血圧が低くなりやすく、冬は血圧が高くなりやすいです。
・ストレス
う~ん、やっぱり。
・睡眠
睡眠の長さや質は、血圧だけでなく、生活習慣病全般との関係が指摘されています。
・お風呂
見逃されやすいのですが、お風呂は気温差の変動が激しくなるので、注意が必要です。浴室や脱衣所などを20℃以上に保ち、お湯の温度が40℃以下であれば、血圧への影響はほとんどないとされています。
厳密である必要はないので、浴室を温めておくなどして気温差を減らしておくように注意してください。
その他にも、便秘時に力を入れたときやセックスのときに血圧が上がることが認められています。
まとめ
今回は、高血圧で見直したい生活習慣についてまとめてみました。
食塩の摂取量や肥満コントロールなどすでにご存知の方が多いと思います。
生活習慣の改善で心得なければならないことは、
「効果は1日にしてならず」ということです。
生活習慣の改善は、継続が必要です。
継続することによって、効果が徐々に得られてきます。
ただ、全く副作用がなく、確実な方法です!
まずは無理をせず、できることから行ってみてください!