子供の高血圧に注意!

高血圧と聞くと、患者さんは中高齢者をイメージしますよね。
もちろん、多くは中高齢者の方ですが、中には若年者もみえますし、幼少期から高血圧の方もみえます。
最近、服薬指導をしていて、血圧が高い20代や30代の方が以前よりも多くなった気がして気になっています。
今回は、小児の高血圧についてお伝えしていきます。
今回はこんな内容です!
1.小中高校生でも高血圧
小学校や中学校で、血圧測定なんて基本的にしませんよね。
ただ、血圧健診が実施されると、小中高校生の3%くらいで高血圧が見つかるそうです。
仮に小中高校生に行われる健康診断で、血圧健診を必須項目としたら、もっと多くの割合で高血圧が見つかるかもしれません。
高血圧の基準は年代別、性別に設けられています。
2.小児高血圧の原因
小児高血圧も、一般の高血圧とどうよう原因不明の本態性と呼ばれる高血圧がほとんどです。その中でも、高血圧の原因と考えられているものを紹介します。
・肥満
小児高血圧の原因として最も多いのが、肥満です。
高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)には、
小学校高学年~中学生の肥満者の3~5%が高血圧
肥満度が増すにつれて高血圧になる確率も高くなる
とあります。
現在は、ファーストフードなどの外食が多いです。
「カラダには良くないのに」
って分かっていても手軽だし、ついつい手を出してしまいます。
子供は喜ぶかもしれませんが、カラダは悲鳴を上げています。
肥満になりやすい環境になっているので、注意が必要です!!
・胎児期の栄養
JSH2014にあるのを紹介します。
3歳児の血圧は出生体重が小さいほど、また3歳時の体重が重いほど高かった
出生体重が小さいほど、また3歳から20歳までの身長増加率が小さいほど、それぞれ独立して20歳時の血圧上昇と血清コレステロール上昇に関連していた
お母さんの栄養状態が、赤ちゃんへ影響する。
そして、お母さんは、そのお母さん、つまり、お婆さんの影響を受ける。
「孫子の代まで」
という表現がありますが、まさにこういうことなんですね。
今の私達の生活は、その孫まで影響をあたえることになるということです。
普段から、バランスの良い食生活、生活習慣を目指しましょう!!
・別の病気の可能性も!!
年齢が低いほど、また血圧が高いほど、別の病気が血圧を上げている可能性があります。
中でも腎臓に関係するものが6~8割を占めると言われています。
別の病気の可能性も、疑ってみる必要があります。
3.小中高校生の高血圧の問題点
小学校~高校で高血圧だと何が問題となるのでしょうか?
それは、臓器障害などの合併症と成人になってからの高血圧につながる可能性が高いということです。
JSH2014によると
高血圧だった中学生の20%強が、20年後に高血圧であった。
高血圧だった大学生の40%強が、8~26年後に高血圧であった。
と報告されています。
これはなんと、高血圧でなかった中学生・大学生の4~5倍にも及んでいます。
将来、高血圧にならないためにも、早めの対策が必要となります。
4.生活習慣を見直そう
治療の基本は、生活習慣の改善です。
生活習慣の改善は、将来につながっていくために、早ければ早いほどいいです。
①食事
小児高血圧の原因の多くは、肥満です。
食事を見直し、体重管理をしっかりすることで改善されます。
ファーストフードや外食を控えたり、カロリーの見直し、食塩過剰摂取の見直しなどをすることで適正な体重管理を心がけましょう
②運動
ゲームなど家に閉じこもりやすい環境になっていませんか?
スポーツ少年団などを利用して、楽しく継続できる運動をしましょう。
生活習慣の改善については、こちらもどうぞ
5.どうしてもコントロールできないときは薬も考慮
腎臓など別の病気が原因で起こる二次性高血圧、臓器障害の合併を防ぐためなど、どうしても薬が必要になるときもでてきます。
小児への降圧薬の投与は、使用報告が少ないので、まだ確立されていないといえます。
2012年に、日本で小児高血圧に対して使えるようになった薬があるので、参考に載せておきます。
「高血圧治療ガイドライン2014をもとに作成」
まとめ
幼少期から高血圧がみられる場合があります。
原因の多くは肥満によるものです。日々の食生活に注意しましょう。
中には、腎臓の疾患などが隠れている可能性があるので、注意が必要です。
子供の病気は、大人である我々の責任かもしれません。
「孫子の代まで」
私たちは生まれた瞬間から一人ではないということですね。
将来を考えて今の行動を選択することが重要ですね!!