病気を知ろう【高血圧編;高血圧って何?】

「健康診断で血圧が高いと言われた。」
「高血圧って言われたから薬を飲んでいます。」
というような話をよく聞きます。
では、どういう状態が高血圧なのでしょうか。
今回も高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)に基づいて、
「そもそも高血圧ってどういう状態のことを指すのか」
についてお答えしていきます。
今回はこんな内容です!
1.高血圧の診断基準
まずは結論から
高血圧の基準は、世界中で「140/90mmHg以上」とされています。
JSH2014で、血圧はその値によって、さらに細かく分類されています。
「JSH2014を参考に作成」
今は、家庭でも血圧を測定する機会が多くなっていますよね。
病院で血圧を測定する場合と家で血圧を測定する場合、
どちらが血圧が高くなると思いますか?
そうです、病院のほうが高くなりやすいんですよね、やっぱり緊張しますから。
だから、家で血圧を測定した場合(家庭血圧)の高血圧基準値は、さっきの基準よりも少し厳しめで
「135/85mmHg以上」
となっています。
血圧の値を見るときに、前に書いてある数字、これを収縮期血圧といいます。そして、後に書いてある数字、これを拡張期血圧といいます。
血圧とは、血液が血管の壁を押す力のことです。
心臓がギュッと縮んで血液を全身に送る時、血圧が最も高くなります(収縮期血圧)。
逆に、心臓が緩まって血液を全身から戻す時、血圧が最も低くなります(拡張期血圧)。
「全国健康保険協会」より
どちらが大切なのか?
いろいろな議論があったそうですが、結果的にどちらも大切ということになっています。
ただ健康日本21では、2022年までに収縮期血圧を平均で4mmHg低下させることを目標としています。
今、収縮期血圧は、年齢とともに上昇する傾向があるのに対して、拡張期血圧は動脈硬化などの影響によって年齢とともに下降する傾向があることがわかってきています。
健康日本21が収縮期血圧をターゲットとしたのは、このことが関わっているのかもしれませんね。
そしてもう一つ、以前、
「血圧の上(収縮期血圧)と下(拡張期血圧)の差(これを「脈圧」といいます。)が大きいと良くて、小さいと良くない。」
と言われていたことがあります。
もうお分かりだと思いますが、
脈圧の大小によって良し悪しを判断することは正確ではないことになります。
難しいことはさておき、
「収縮期血圧も拡張期血圧もどちらも大事」
と思っていただければOKです。
2.白衣高血圧、仮面高血圧ってなんだろう?
血圧は、診断によって正常血圧、白衣高血圧、仮面高血圧、持続性高血圧の4つに分類されます。
正常血圧と、(持続性)高血圧の基準については先程確認したので、続いて白衣高血圧と仮面高血圧についてみていきたいと思います。
①白衣高血圧
白衣高血圧とは、診察室で測定した血圧(診察室血圧)が高血圧であっても診察室ではないところで測定した血圧(診察室外血圧)が正常域血圧を示す状態のことをいいます。
「JSH2014」より
この白衣高血圧はなんと、
診察室血圧で140/90mmHg以上の高血圧と診断された患者の15-30%にも相当し、高齢者になるほどその頻度が増加する。
「JSH2014」より
という報告があるそうです。
白衣高血圧は、持続性高血圧と比較してカラダに対する様々な影響は小さいですが、
糖尿病などを合併する頻度が高くなるといわれています。
②仮面高血圧
仮面高血圧は、白衣高血圧とは逆に、診察室血圧が正常域血圧であっても、診察室外血圧が高血圧を示す状態のことをいいます。
「JSH2014」より
仮面高血圧は、喫煙者やアルコール多飲者、ストレスが多い生活をおくっている方などで発症するリスクが高くなります。
例えば、
「日中、職場で強いストレスを感じて血圧が高めになっている方が、
仕事が終わって病院に行って落ち着くことで血圧が下がった」
みたいな状況が当てはまります。
ここで言いたいことは、
高血圧には、白衣高血圧や仮面高血圧といった隠れ血圧異常があるので、
「健康診断や一時の受診だけで血圧の治療を受けたりやめたりすると、
無駄な治療を受けたり、必要な治療を受けなかったりする可能性がある」
ということです。
正確な表現ではないので語弊はありますが、単純に白衣高血圧のところをみると、15-30%の患者さんが血圧の治療を受ける必要がないのに受けている可能性があることになりますから。
3.血圧って一定しているの?
「昨日は、血圧が低かったけど、今日は血圧が高めだった。」
ということはよくあります。
そうです、血圧は、毎日変動します。
そして1日のうちでも、変動しています。
一般的に、血圧は朝が高く、夜は低くなると言われ、この差はなんと10-20%にもなるそうです。
「う~ん」と、朝目を覚まそうと頑張るから血圧が上昇し、逆に夜は「おやすみ~」と眠ろうとするので血圧が低くなるイメージです(ヒトのカラダってうまくできているんですね。)。
もちろんこれは一般的な話です。
働き方が多様になっている現在では、夜勤などで昼夜が必然的に逆転している方も多いと思います。そうすると、このリズムも変わってくると思います。
ただ分かっていることは、1日のうちの血圧変動幅が10-20%という正常値から大きくても小さくても心臓発作などの心血管の病気のリスクが高くなるということです。
その他、毎日の血圧変動(日間変動)、週変動、季節変動とリスクとの関係性については、現在調査中とのことですが、何となく関係性はありそうな気がしますね。
まとめ
今回は、高血圧の診断基準についてみていきました。
高血圧とは、
病院では、140/90mmHg以上
家では、135/85mmHg以上
というように定義されています。
ただ、1回や2回の測定で判断するのではなく、
継続的に測定することによって判断していくようにする必要があります。
血圧が気になっている方、高血圧を指摘された方は、
日々の生活の中で血圧を意識する習慣をつけて、
見直せるところから見直していきましょう。