なかなか血圧が下がらないときの対応策とは

高血圧の薬の話については、とりあえず一段落。
いやー、難しかった。
改めて勉強し直すと、新しい発見もあっていいですね!
定期的なブラッシュアップをしていくことが大切だと実感できました。
とはいえ、やっぱり専門家向けですね。
そこで今回は、もっと実用的なお話です。
「血圧の治療を受けているけど、全然コントロールできない!」
という方に、いくつか気をつけていただきたいことがあるので、それを紹介していきます。
今回はこんな内容です!
1.実際、高血圧ってどのくらいコントロールできているの?
高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)によると、
3種類以上、高血圧の薬を服用しても、コントロールが不十分(降圧目標:140/90mmHg未満)な方は13%であった(J-HOME研究)
全体的には、平均的に1.7種類の薬が用いられ、診察室血圧と家庭血圧の両方がコントロールされている方は19%にとどまっていた(J-HOME研究)
糖尿病合併者の降圧目標(130/80mmHg未満)を達成している割合は11%にすぎなかった。
と報告されています。
この研究結果からすると、
現状、高血圧治療を受けていても降圧目標を達成している割合は低いことがわかります。
また、3種類以上の薬を用いれば、降圧目標を達成する可能性が高くなるということがわかります。
「血圧の薬だけで、3種類も飲まなければいけないの?」
って思われますよね。
僕もそう思います。
でも、治療のガイドラインでそうなっているんです。
高血圧治療の目的は、
「高血圧の持続によってもたらされる心血管病の発症・進展・再発を抑制し、死亡を減少させること」
とされています。
この目的にフォーカスしているので、「薬の種類を増やしてでも目標値を達成させる」ということになってしまうんです。
だから、何も気をつけないでいると、どんどん薬が増えることになります。
「そうは言っても、どうすればいいの?」
という方、まずは生活習慣を改善してみましょう!
「気をつけているけど、血圧が下がらない(怒)」
という方もみえると思います。
血圧が下がらない原因と対策があるので、それを紹介しますね。
2.血圧が思うように下がらない原因
血圧が思うように下がらない原因は、たくさんあるとされています。
JSH2014に挙げられているものを紹介します。
①血圧測定が正確ではない!
もう、こんなことで薬を飲むことになったらショックですよね!!
正しい血圧測定については、こちらを参考にしてください
血圧の値は、測定する機器によって全然違います。
「あそこで血圧を測ると必ず高い!」
みたいなことってありますよね。
カフ(ブーといって空気が入って締め付ける部分)がキツイと血圧は高くなりますし、ユルイと血圧が低くなります。
自分にあった適切な機器で、正確な血圧測定を行ってください!
②お医者さんの前では血圧が高くなる!
白衣高血圧、白衣現象っていいます。
「お医者さんの前だと、血圧が高くなる!」
という話をよく聞きます。
実際、そういうことは多いです。
血圧を正しく把握するために、自宅(家庭)で落ち着いた状態で血圧測定をする習慣を持ちましょう!
白衣高血圧については、こちらもどうぞ
③アドヒアランス不良
アドヒアランスとは、
患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する。
「薬学用語解説」
これは例えば、「自分の判断で勝手に薬の服用をやめること」が挙げられます。
服薬指導をしている中でこんな記憶があります。
「血圧の薬を自分の判断で服用していたために、診察で血圧が高くて追加で薬が処方された。」
こういう方に、
「そのことを先生に相談しますね」
という話をすると
「余計な話をするな!!」
ということを言われたりもします。
この追加の薬、本当に必要な薬なのでしょうか?
最初に処方された薬をしっかり服用していれば、追加される必要がなかったかもしれません。
これも不適切な医療ですよね!
不適切な医療は、医療提供者だけが起こすものではない
ということです。
医療を受ける側の患者さんも、治療方針などをしっかり相談し、理解した上で治療を受けることで、適切な医療につながっていきます!
もちろん、治療の意味や方針をしっかりと患者さんにお伝えし、ほんとうの健康につながるように納得して治療に参加していただけるように説明をする責任は、我々、医療従事者にあります。
「ライザップで体験者が成功するのは、トレーナーがしっかりサポートするから」
という話と一緒だと思います。
④生活習慣を見直そう!
これは、この記事も参考にしてみてください。
食塩の過剰摂取、肥満、過度の飲酒は、血圧を上げる原因になると言われています。
生活習慣は血圧だけでなく、様々な病気の原因となります。
生活習慣を見直して、病気に負けないカラダづくりをしましょう!
「そればっかり、耳タコだよ!」
と思われるかもしれません(汗)
でも、実際服薬指導をしているとこういわれる患者さんも多く見えるんです!
「体重が増えてから、血圧が高くなった。でも、もとの体重に戻ったら血圧ももとに戻った」
だから、もし肥満が気になっている方なら、それを改善するだけで血圧が下がります。
⑤睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群も高血圧の原因になるそうです!
⑥血液の量が多い
血圧は、【心拍出量】と【抹消の血管抵抗】、つまり、【血液の量】と【血管の硬さ】で決まるんでした。
血液の量が多い場合は、血圧が高くなってしまいます。
血液の量は、腎臓の機能などによって左右されます。腎臓の機能が弱くなっている方は、血圧が高くなる可能性があります。
食塩の過剰摂取が気になっている方は、気をつけてください!
薬としては、利尿薬を適切に用いることで改善されることもあります。
利尿薬については、こちらもどうぞ
⑦その他の原因
その他の原因としては、使用している薬の用量が適切ではなかったり、併用薬の組み合わせに問題があった場合があります。
また、薬の中には、副作用として血圧を上げてしまうものもあります。
そのような薬を服用しているときは、高血圧状態が続くことがあります。
併用している薬がある場合は、担当のお医者さんや薬剤師に必ず伝えるようにしましょう!
まとめ
まとめた表を作成したので、参考にしてください。
「JSH2014を参考に作成」
今回は、なかなかコントロールできない高血圧の原因と対策についての話でした。
原因がわかれば、対策をとることが可能です。貼っておいた表を参考に確認してみてください。
そしてそれが、高血圧改善に向けて、少しでもヒントにつながれば幸いです。
少しでも気になることがあれば、早速改善するための行動を取りましょう!
少しの意識が、適切な治療、薬の減少につながります!
病気を知って、自分自身で病気に立ち向かえる知識を付けていきましょう!