高血圧の薬、もう一つのレニン系

レニン・アンジオテンシン系では、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)とACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬を紹介してきました。
詳細はこちらをどうぞ
アンジオテンシンが血圧とどのように関わっているのか、視覚的だと理解しやすいので、こちらのサイトも参考にしてみてください。
http://adalat.jp/ja/home/pharmacist/basic/01/t07.php
これは、レニン・アンジオテンシン系(RA系)といわれ、血圧を上げるメカニズムの一つです。
カラダの中で起こっているメカニズムは、
「川の流れ」
に例えると理解しやすいと思います。
何もない状態では、カラダの中で、川がスムーズに流れているので、本来の機能が発揮されています。
薬は、この川の流れを止める役割をします。
そして、どこの部分で流れを止めるかによって、その種類が変わってくることになります。
このRA系ですが、アンジオテンシンⅠからアンジオテンシンⅡに変換する働きを持つ酵素を阻害する薬が「ACE阻害薬」
図の川の流れの中流を止める感じです。
アンジオテンシンⅡの働きを抑える薬が「ARB」
図の川の流れの下流を止める感じです。
そして、今回紹介する薬は、
図の川の流れの上流を止める薬になります。
1.直接的レニン阻害薬(DRI)
日本では唯一、アリスキレン(ラジレス®)が認められています。
この薬は、他のRA系の薬(ARBとACE阻害薬)が副作用などで用いることができないときに用いられる程度で、あまり使われていないのが現状です。
この薬は、半減期が40時間と長いので、長時間にわたって降圧効果が期待できます。
「半減期」とは、
血液の中を巡っている薬の成分が、代謝されて半分になるまでの時間
のことです。
ARBやACE阻害薬を飲むと、川の流れの最上流であるレニンの量が促進されます。
DRIは、この副次的に上昇してしまうレニンを抑える効果を期待されていたが、期待される効果は得られず、逆に高カリウム血症や低血圧などの副作用が増えたことが報告されています。
あまり使われていないのが、よくわかる報告内容ですよね(汗)
2.DRIの副作用
DRIは、広義のRA系に分類されるので、基本的な副作用としてはARB、ACE阻害薬と同じです。
妊婦さんへの投与も原則的には禁止されています。
こんな表現をすると、
「妊娠のときに、飲んでいい薬なんてない!」
って、子宝先生に怒られそうです。
その他、重大な副作用に、血管浮腫、アナフィラキシー、高カリウム血症、腎機能障害などが報告されています。
まとめ
DRIは、ARBやACE阻害薬が副作用などで使用できないときに用いられる薬です。
長時間作用するので、翌日の早朝高血圧を抑えることが期待できます。
副作用は、ARBやACE阻害薬と似たような症状となります。
今回は、短いですが以上です。
あまり使われていない薬ですね。
RA系は、作用機序の部分が他の薬の作用を考える上でも参考になるので、興味があればゆっくりと見てみてください。